「建設業を取り巻く課題」
建設業界を取り巻く環境は年々悪化し、低価格による過当競争が繰り広げられ、資金力における体力勝負の状況にまで追い込まれています。
需要と供給のバランスは完全に崩壊し、建設業者数の縮減なくして回復の兆しは見えない状況です。
そのような中、「公共事業の品質確保の促進」のため技術力及び品質の向上の優劣を考慮した総合評価方式の導入は、技術力を持つ建設企業にとって明るい兆しだと思われました。
しかしながら、その評価は曖昧であり評価者の主観によるものが多く、また、建設業者としても多大な負担となるなどの問題点も出てきています。
現状では、他社との差別化をはかり、品質・サービスの向上に取り組む業者であっても勝ち残りは厳しい状況だと言わざるを得ません。
また、建設業の従来からの課題として閉鎖的で独善的な現場環境の改善ということがあります。
そのため、工事環境を良くするための諸経費(イメージアップ経費)が認められていますが、積極的かつ能動的な活動でイメージアップを行っている現場は多くはありません。
それは、評価点向上のため仕方無くであったり、施工開始時の業務多忙などによるためではないでしょうか。
更には、団塊世代の大量退職による空洞化と廃業倒産などにより優秀な技術者や職人が流失している現状に加え、学生の建設業離れ、企業力低下による新卒者の不採用などの人材問題も抱えています。
特に人材教育に資金をかけることが出来なくなった企業が多くなり、将来の技術者能力の低下が懸念されています。
最後に、地域建設業社は地元情報については詳しくても、他県などの情報を知る方法を持たない企業も多いですし、自ら、自社情報を公開しないなど全体的に閉鎖的でもあります。